年金について

  1. 年金スケジュール
  2. 年金への影響(在職老齢年金)
  3. 税金・社会保険・補助金への影響
    1. 税金(所得税・住民税)
    2. 社会保険料(健康保険・厚生年金)
    3. 高年齢雇用継続給付(補助金)
  4. 損益分岐点はどこ?
  5. 年金カットの計算例(年収1,000万円の場合)
    1. 他の制度への影響
      1. 税金と保険料
      2. 補助金(高年齢雇用継続給付)
      3. 損益分岐点の考え方
  6. 「65歳から年金をもらいたい」方への重要注意点
  7. 「働き損」は理論上起こらない
    1. 効率が変わる「3つのライン」
  8. 老齢基礎年金(国民年金分)、厚生年金の違い
    1. 老齢基礎年金(国民年金)
    2. 老齢厚生年金(在職老齢年金)
  9. 60歳以上で「会社勤務」と「起業(個人事業主)」を両立する場合
    1. 年金(厚生年金)はどうなる?
    2. 健康保険(会社健保 vs 国民健康保険)
    3. 「会社勤務」+「法人設立」の場合は要注意
    4. 結局、損益分岐点は?
    5. アドバイス
  10. 加給年金とは
    1. 加給年金がもらえる「3つの条件」
    2. いくらもらえるのか?(2026年度目安)
    3. 注意すべき「落とし穴」
  11. 奥様の給与や年金の影響
    1. 「世帯合算」ではない
    2. 奥様が厚生年金をもらっていても関係ない
    3. ただし「加給年金(家族手当)」だけは例外
    4. まとめ
  12. 「会社員+起業」の最適な組み合わせ
    1. 基本戦略:社会保険料の「実質的な固定」
      1. シミュレーション:年収1,000万円を目指す場合
    2. 手元に残る現金を最大化する「黄金比」
      1. 最強のバランス案
    3. 起業(個人事業主)の税務メリット
    4. 準備すべきこと

年金スケジュール

男性の場合は1961年(昭和36年)4月1日より後に生まれた方は、「特別支給の老齢厚生年金」「60代前半でもらえる年金」という仕組み自体がなくなった。女性は、1966年(昭和41年)4月1日後に生まれた方は「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる権利なし。

  • 60歳〜64歳: 年金は一切出ません(特別支給の対象外のため)。
  • 65歳: 本来の「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の受給がスタートします。

つまり、65歳までは年金カットなどを気にする必要はなく、働けば働いた分だけ、すべてが自分の収入になります。 迷いなく「働けるだけ働く」ことができる期間です。

年金への影響(在職老齢年金)

60歳以降、厚生年金に加入しながら働く場合、「給与+厚生年金」の合計額が一定を超えると年金の一部がカットされる。これを「在職老齢年金」と呼び。

  • 2026年4月以降: 合計が月額65万円を超えるとカット開始。
    • 老齢基礎年金(国民年金分)は、いくら稼いでもカットされない。故に自営業やフリーランス(厚生年金に入らない働き方)なら、いくら稼いでも年金は減らない。老齢基礎年金(国民年金分)の金額が増える「加算対象」となるのは、原則として「60歳まで」。

税金・社会保険・補助金への影響

年金以外の面でも、収入が増えることで以下の変化が生じる。

税金(所得税・住民税)

  • 収入が増えれば当然、所得税や住民税は上がる。
  • ただし、日本の税制は「増えた分以上に税金で取られる」ことはない仕組みなので、手取り額自体は増える。

社会保険料(健康保険・厚生年金)

  • 会社員として働くと、給与に応じて社会保険料を支払う。
  • メリット: 社会保険料を払うことで、将来受け取る年金額がさらに増える(再評価)。また、高額療養費制度などの保障も厚くなる。
  • デメリット: 額面上の給与から約15%(会社負担分除く)が引かれる。

高年齢雇用継続給付(補助金)

  • 60歳以降の給与が60歳時点の75%未満に下がった場合に国から出る給付金。
  • 注意点: 2025年4月以降に60歳になった方は、最大支給率が10%に縮小された(以前は15%)。また、この給付金をもらうと、連動して年金がさらに最大月給の約4%(2025年4月以降に60歳の方は最大2.4%程度)追加でカットされる調整がある。

損益分岐点はどこ?

「働き損」を避けるためのポイントは、**「手取りの最大化」「将来の年金増」**か、どちらを優先するか。

  • 手取りを減らしたくない場合: 2026年4月以降なら、「月給+年金」を月65万円以内に収めれば、年金のカットはゼロです。
  • 本当の損益分岐点: 「年金が減るから働かない」のは、実はもったいない選択。なぜなら、年金が一部カットされたとしても、働いて得る給与の方が圧倒的に大きいから。また、厚生年金保険料を払うことで、65歳以降の年金額も増加。

年金カットの計算例(年収1,000万円の場合)

年収1,000万円(ボーナス込)を月額換算すると、月々の「総報酬月額相当額」は約83.3万円

  • 月給(額面換算): 約83.3万円
  • 年金月額(仮定): 15万円(老齢厚生年金部分のみ)
  • 合計: 98.3万円

この場合、2026年4月以降の基準額「65万円」を大きく超えるため、以下の計算で年金がカット。

カットされる額 = (98.3万円 – 65万円)÷ 2 = 16.65万円

年金月額(15万円)よりもカット額(16.65万円)の方が大きいため、このケースでは老齢厚生年金は「全額支給停止」となる。 ※ただし、老齢基礎年金(月約6.8万円程度)は年収に関わらず全額もらえる。

他の制度への影響

税金と保険料

年収1,000万円の場合、所得税・住民税の負担は重くなるが、厚生年金保険料を払い続けることで、将来(仕事をやめた後)受け取れる年金額が毎年増えていくというメリットがある(在職定時改定)。

補助金(高年齢雇用継続給付)

この給付金は「賃金が60歳時点の75%未満に下がったこと」が条件です。年収1,000万円を維持できているのであれば、そもそもこの補助金は対象外(あるいは支給額ゼロ)になるのが一般的です。

損益分岐点の考え方

「年金がカットされるから損だ」と感じるかもしれませんが、以下の比較をしてみてください。

  • 働かない場合: 年金(月20万円程度)のみ。
  • 年収1,000万で働く場合: 月給(手取り約60万円前後)+ 基礎年金(約7万円)= 月67万円

結果として、**「働いたほうが、手元に残る現金は圧倒的に多い」**というのが現実。


「65歳から年金をもらいたい」方への重要注意点

もし、年金を増やすために「65歳からさらに受給を遅らせる(繰下げ受給)」ことを検討されている場合、注意が必要。

  • 働いてカットされた分の年金は、将来の増額対象にならない。
  • 年収1,000万円で全額停止になっている期間は、いくら待機してもその期間分の「加算」はつかない仕組み。

「働き損」は理論上起こらない

年金がカットされる計算式は、**「超えた分の2分の1」**を差し引くというものです。

カット額 = (月給 + 年金月額 – 65万円※)÷ 2

※2026年4月以降の基準額

例えば、給料が2万円アップしたとしても、年金がカットされるのはその半分の「1万円」だけです。手元には必ず**「プラス1万円」**が残ります。

つまり、年収1,000万円でも3,000万円でも、働いて給料をもらう方が、働かずに年金だけをもらうより総収入は必ず多くなります。

効率が変わる「3つのライン」

損をすることはありませんが、収入の「増え方」には段階がある。

段階収入の状況(月額換算)年金ともらえる総額への影響
① 全額受給ライン月給 + 年金 ≤ 65万円年金は1円も減らない。最も効率よく稼げるライン
② 一部カットライン65万円 < 合計 < 95万円程度超えた分の半分、年金が減る。それでも手取りは増え続ける。
③ 全額停止ライン合計 > 95万円程度厚生年金が0円になります。これ以上稼いでも年金はもう減りようがないため、稼いだ分だけダイレクトに収入が増える。
※年金月額が15万円の場合の目安です。

老齢基礎年金(国民年金分)、厚生年金の違い

老齢基礎年金(国民年金)

  • 性質: 日本に住むすべての人が共通でもらう土台の部分。
  • 影響: 働いて稼いだ金額や、厚生年金の受給額によって減額されることは一切ない。
  • 結論: 厚生年金と一緒に満額受け取れる。

老齢厚生年金(在職老齢年金)

  • 性質: 会社員時代などの給与に応じて上乗せされる部分。
  • 影響: 「給与+厚生年金」の合計額が一定基準を超えたときだけ、この「厚生年金」部分のみがカットの対象になる。
  • 基準額(2026年4月以降): 合計で月額65万円

60歳以上で「会社勤務」と「起業(個人事業主)」を両立する場合

結論、「厚生年金保険料は増えるが、国民健康保険料は払う必要なし」


年金(厚生年金)はどうなる?

会社に勤めながら厚生年金に加入している場合、起業(個人事業主)としての収入がいくらあっても、厚生年金保険料は増えない。

  • 保険料: あくまで「会社から受け取る給与(額面)」に基づいて決まる。起業での利益(事業所得)は計算に含まれなお。
  • メリット: 起業でいくら稼いでも保険料は上がらないが、会社員として保険料を払い続けることで、将来受け取る老齢厚生年金は着実に増えていく。

健康保険(会社健保 vs 国民健康保険)

ここが最大のメリット。会社で社会保険(健康保険)に加入している限り、別途「国民健康保険」に加入して保険料を払う必要なし。

  • 会社員を続ける限り: 会社で加入している健康保険一つで、起業分も含めたすべての活動がカバーされる。
  • 保険料: 年金と同様、「会社の給与」だけで計算される。 起業で数千万円稼いだとしても、会社の社会保険料が変わることはない。

【注意】 もし会社を辞めて「起業一本」になると、国民健康保険に切り替わる。その場合は「前年の全所得」で計算されるため、起業の利益が大きいと保険料が跳ね上がる可能性がある。


「会社勤務」+「法人設立」の場合は要注意

もし起業が「個人事業主」ではなく、**「株式会社などの法人を設立して、自分に役員報酬を出す」**形にする場合はルールが変わる。

  • 二以上事業所勤務: 自分の会社からも給与(役員報酬)をもらう場合、2つの会社の給与を合算して社会保険料を計算し、按分して支払うことになる。この場合は、保険料の総額が増える

結局、損益分岐点は?

「働けるだけ働きたい」という希望にとって、**「会社員(厚生年金加入)+個人事業主」**という組み合わせは、非常にコスパが良い戦略。

  • 収入面: 起業で稼いだ分は、社会保険料の追加負担なしで手元に残る。
  • 年金面: 会社の給与から保険料を払うことで、将来の年金額が増える。
  • 在職老齢年金: 起業(個人事業主)の稼ぎは、年金カットの判定基準(月65万円)に含まれない。いくら起業で稼いでも、それが理由で年金が止まることはない。

アドバイス

もし「起業」が個人事業主(屋号のみ)での活動予定であれば、社会保険料を最小限に抑えつつ、年金を増やし、さらに年金カットも避けられる「最強の働き方」になる。

加給年金とは

加給年金がもらえる「3つの条件」

以下の条件をすべて満たしている場合に支給。

  1. 本人の条件: 厚生年金の加入期間が20年以上(または中高齢特例の期間)あること。
  2. 受給開始: 本人が65歳になり、老齢厚生年金を受け取り始めること。
  3. 家族の条件: 65歳未満の配偶者、または18歳到達年度末までの子供がいること。
    • ※家族の年収が850万円未満である(生計を維持されている)ことが条件。

いくらもらえるのか?(2026年度目安)

配偶者がいる場合、年間で**約40万円(月額 約3.3万円)**ほど上乗せされる。

対象家族支給額(年額)備考
配偶者397,500円昭和9年4月2日以降生まれの特別加算込
第1子・第2子各228,700円1人につき
第3子以降各76,200円1人につき

注意すべき「落とし穴」

  • 配偶者が65歳になると終了配偶者が65歳になると、加給年金の支給は止まる。その代わり、配偶者自身の振替加算という制度に切り替わることがある。
  • 「在職老齢年金」で本体が全額停止だと、加給年金もゼロ:年収1,000万円などで働いて、老齢厚生年金本体が「全額支給停止」になると、この加給年金(月3.3万円)も道連れで全額カット。
    • 1円でも厚生年金本体が出ていれば、加給年金は全額もらえる。

豆知識:

加給年金をもらうために、あえて年収を少し抑えて「厚生年金本体を1円でも残す」という調整をするのが利口。

奥様の給与や年金の影響

結論、奥様の給与や厚生年金は、夫の年金カット(在職老齢年金)の計算には一切関係なし。

日本の年金制度における「稼ぎすぎによる年金カット」の判定は、あくまで**「働く本人(受給者本人)」の収入だけ**を見て行われる

ポイントを整理すると以下の通り。

「世帯合算」ではない

所得税の配偶者控除などは世帯の収入が関係するが、在職老齢年金(年金のカット)は完全な個人単位

  • 夫が年収1,000万円妻が年収1,000万円で共働きをしていたとしても、夫の年金がカットされるかどうかを判定する際に、妻の収入を足すことはない。

奥様が厚生年金をもらっていても関係ない

奥様自身が年金を受け取っている場合でも、それが夫の年金を減らす理由にはならない。

ただし「加給年金(家族手当)」だけは例外

「加給年金(年約40万円)」については、少しだけ奥様の収入が関係。

  • 条件: 奥様の年収が850万円以上あると、「生計を維持している」とみなされず、夫の年金に「加給年金(家族手当)」がつかなくなる。
  • ※ただし、年収1,000万円で働くとそもそも本体の厚生年金が停止し、加給年金も自動的に止まる可能性が高いので、実質的にはあまり気にしなくて良いポイントかもしれません。

まとめ

「俺が稼ぎすぎると、妻の年金まで減るんじゃないか?」あるいは「妻が稼いでいるから、俺の年金がさらにカットされるのでは?」という心配は不要。

「働けるだけ働く」という目標に向かう上で、奥様の収入をセーブさせる必要は全くなし。 夫婦それぞれが最大効率で稼いで問題ない仕組みになっている。

「会社員+起業」の最適な組み合わせ

「会社員(厚生年金加入)+起業(個人事業主)」の組み合わせは、実は60代以降の資産形成において最強のスキームの一つ。

なぜなら、**「社会保険料を会社の給与だけに固定し、起業の利益を『社会保険料フリー』で手元に残せるから」**。

具体的なシミュレーションと戦略を整理。


基本戦略:社会保険料の「実質的な固定」

日本の社会保険(健康保険・厚生年金)には、**「個人事業主としての利益には保険料がかからない」**というルールがある。

  • 会社の給与: ここから社会保険料が引かれる(標準報酬月額に基づき決定)。
  • 起業の利益: 確定申告で税金(所得税・住民税)は払うが、社会保険料は1円も増えない。

シミュレーション:年収1,000万円を目指す場合

以下の2パターンで、手元に残る現金を比較してみましょう。

項目パターンA:会社員のみパターンB:会社員+起業
内訳給与 1,000万円給与 600万円 + 起業 400万円
社会保険料約130万円〜(上限付近)約90万円(給与600万分のみ)
年金カット全額停止の可能性大一部受給できる可能性が高い
結論保険料が高く、年金もゼロ。保険料が安く、年金ももらえる。

手元に残る現金を最大化する「黄金比」

松ターゲットにするのは**「月額65万円(給与+年金)」の壁**をどう活用するかです。

最強のバランス案

  1. 会社の額面給与を「月45万円〜50万円」程度にする
    • こうすることで、厚生年金(仮に月15万円)と合わせても合計65万円以内に収まり、年金を1円もカットされずに全額受け取れる。
  2. 残りの目標年収分(400万〜500万円)を「起業」で稼ぐ
    • 起業の稼ぎは「在職老齢年金」の計算に一切含まれないため、いくら稼いでも年金は減らない。
    • さらに、この分には社会保険料(約15%分)がかからないため、ダイレクトに手元に残る。

起業(個人事業主)の税務メリット

さらに、起業(個人事業)にすることで、会社員にはない「手元にお金を残す武器」が手に入る。

  • 経費計上: 仕事で使うPC、通信費、旅費、接待費などを「経費」として利益から差し引ける
  • 青色申告特別控除: 最大65万円を利益から差し引いて税金を計算で切る。
  • 小規模企業共済: 掛金の全額が所得控除になり、節税しながら「自分専用の退職金」を積み立てられる。

準備すべきこと

この「二足のわらじ」を成功させるための具体的なステップを提案。

  1. 勤務先の就業規則の確認:
    • 副業・兼業が可能か、また定年後の再雇用制度において給与額の調整(週3勤務にするなど)が可能かを確認。
  2. 「事業」の種まき:
    • 現在お持ちの専門知識を活かしたコンサルティングや、これまでの人脈を活かしたビジネスなど、定年後に「個人事業」として独立できる形を模索し始める。
  3. 開業届のタイミング:
    • 実際に売上が発生する段階で「開業届」を出し、青色申告の準備をする。

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